化学実験用の電子工作
1. 電解用スイッチング可変電源:
電子工作 1.で作った 安定化電源は、レギュレーターICの 723により、終段トランジスター(2N3055、2SC5200 等)を抵抗として発熱させて、所定の電圧に下げる方式なので、通常の電子工作レベルの小電流の場合は問題ないが、電解実験用などの、低電圧、中〜大電流、長時間の駆動には 放熱器も考慮して難がある。
たとえば中国製の放熱器(90h×69b×36t mm)を付けても、3V1A程度で
コレクタ損失が10Wほどにもなり(723は11V以上の電源が必要)、長期駆動で放熱器が熱くなって
この辺が限界となる。
そこで、効率の良い、スイッチング電源(降圧)の可変型のもの(秋月電子のキット: 降圧チョッパ・レギュレーター SI-8008HFE 使用、0.8〜(24V)可変、max5.5A)を用い、電圧の上限を決める抵抗R1を
510Ωにすると、入力が12V5Aのスイッチング電源(入力電圧差は4V必要)で、出力 0.8〜8V になった。 放熱器(外付けにした)の発熱は、5Aでもそこそこで十分使える。 (電圧を決める5kBのVRは、ゆっくり回す必要がある。)
電圧計は、3−20V用の 小型パネルメータ(2線式)を取り付けた。
これで、3V1A、4V2A、6V5Aなどの、金属精錬やメッシュ電極を用いるような低抵抗・大電流の電解実験を行なう。
2. サーモスタット温度コントローラー:
サーモスタットIC(TC622EPA)(Temp:−40〜85℃、Vdd:4.5〜18V)の負帰還出力(2pin、O−)を リレー駆動回路(リレー:5V・106mA駆動、5A・AC250V)に入れ、温度が上がるとヒーター電流が切れ、温度が下がると電流を入れる
コントローラーを作成した。 リレー駆動電圧5Vのため、6Vのスイッチング電源を用いた。(4.5V動作リレー、5V電源としても良い。) 温度設定は、50kΩのVRで行なう。(直列の100kΩと足して、
0℃:93kΩ、 20℃:108kΩ、 40℃:125kΩ等)
投げ込みヒーター(ニクロム線をガラス管に入れた 手製のU字型)の電源は、
電子工作14.(4)で作成した 10Aトライアック・コントローラーの100V入力線を、このリレーで断続するようにした。 出力は、1〜3A100V(100〜300W)
などに、トライアック基板のVR(100k)で、平均電流を設定する。
(リレーで断続する際、多少のチャタリングがあるので、リレーの接点の寿命が気になるところである。 SSR(ソリッドステート・リレー)はこの点を解決する。)
・ 今回、センサを水中に投げ込んだが ノイズを拾うので、金属管に入れるか、容器の外壁にパテで張り付けると
良いと思われる。
・ また、やや大きめの水槽には、50℃以下なら、風呂用水中ポンプ(バスポンプ、定格11V1A、モノタロウ)を 5Vスイッチング電源による駆動にして、水流を弱めて撹拌に用いる。
3. 低温域の記録温度計:
温度センサIC LM35DZ (0−100℃、4−30V、±0.75℃)は、温度に比例した電圧を出力するので使いやすい。
温度のアナログ値はオペアンプで約3倍になっているので、そのまま桁数を合わせてデータとした。(0〜Vref+ = 0〜3.072V を 210 = 1024分割、 3072/1024=3、 ツェナーシャントレ・ギュレーターのカソード側の3.072Vは、デジタル・テスター等を使って正確に合わせる。)
出力は、USB(CDCクラス)でパソコンにつなげ、ビジュアル・ベーシック2010 で作成した 折れ線グラフのソフトで表示し、記録もできるようにする。 Timer1_Tick関数で 約5秒ごとにPICに要求信号を送り、温度をサンプリングする。 表示ウインドウは temp.Designer.vb を貼って容易に再現できるように付録に追加した。
実際の使用には、project の bin > Release > temp の実行ファイルを
デスクトップ等に貼って行なう。 (各ソフト 参照 ↓)
・ PICプログラム (PIC18F2550)
・ PCプログラム (temp.vb、 temp.Designer.vb、 Module1.vb)
また、熱電対による、より高温域の測定も同様にすることができる。有効数字3桁を確保する。(この、100℃以下では2桁となって、グラフがでこぼこしている。)